遺児家庭の抱える問題

あしなが学生募金とは

【国内遺児の実態】

遺児が抱える経済的な問題

実質年間稼働所得は5年間で20万円減少

あしなが育英会が2026年に実施した調査によると、対象世帯の名目上の年間稼働所得*は178.1万円で、2021年に行った同様の調査(176.4万円)から1%の上昇にとどまりました。

一方、2020年を100とした「各年6月の消費者物価指数(総合)」は、2026年に114を超える水準へと上昇しています。

このように消費者物価指数の上昇によって購買力が大幅に削ぎ落とされた結果、保護者の実質年間稼働所得は2021年調査時の176.4万円から本調査では155.2万円へと、約20万円の大幅な減少を記録しています。

*個人が働いて得る所得。遺族年金や障害年金、各種補助金は含まれない。

アンケート調査の詳細はこちら

一般世帯の稼働所得は3年間で約8%伸びている(2021年443万円→2024年478万円)にも関わらず、奨学生世帯の稼働所得に伸びが見られないのには、正規雇用率の低さが挙げられます。奨学生世帯の保護者の正規雇用率*は2021年調査時点の41.3%から、今回の調査では25.5%へと低下しています。
総務省の「労働力調査」から分かる、同期間の一般労働者における正規雇用率が63.3%から63.5%とほぼ横ばいで推移していることと対比すると、かなり大きい変化の幅と言えます。

*正規雇用率に自営業やその他の働き方は含まない。

約2割の家庭が進学断念もしくは検討

同調査では、進学先について、「学費を理由に希望を変更した、または変更を検討している」との回答が27.7%、「大学や専門学校への進学をあきらめた、またはあきらめる可能性がある」が21.5%と、2割以上が進学への影響の可能性を選択しています。また、「子どもにアルバイトを増やしてもらった、または始めてもらった」との回答も22.6%に上っており、2割を超える世帯で、家計を支えるために高校奨学生が働いている現状が判明しました。

生活インフラへの影響大

実質所得の減少は、日々の固定費や生活インフラの支払い能力に直接的に影響しています。過去1年間に公共料金や住居費などを「払えなかった経験」に関する前年調査と本調査の比較は、この1年の変化を端的に表しています。

電話・電気・ガス・水道・税金社会保険料を「払えなかった経験」はほぼ昨年並みでしたが、家賃を払えなかった経験があると答えた保護者の割合が約1.5倍、住宅ローンについても約1.9倍高くなっており、生活の基盤である住居への支払いに影響が出る事態となっていることが判明しました。

9割超の家庭が食費を削減

消費者物価指数における食料の指数は総合指数と比較してさらに急激な伸びを示していて、2020年を100とした場合の2026年6月の指数は128.5と3割近く値上がりしています。この影響は奨学生家庭に如実に現れており、物価高を受けて日々の出費で削ったものを3つまで選択してもらう設問に対して、91.6%の保護者が「食費」を選択しました。

また、過去1年に、経済的な理由で、家族が必要とする食料を買えないことがあったかという設問に対して、「なかった」と回答した保護者は半数以下にとどまり、1割を超える保護者が「よくあった」と回答しました。

さらに1週間の内、十分な量の食事がとれている日数がどれほどあるかという質問に対して、自身が「毎日」十分な量をとれていると回答した保護者は43.5%であったのに対し、高奨生が十分な量を食べていると回答した保護者は59.9%と、16.4ポイントの開きがありました。この結果は、保護者が自身の食料を減らして子どもの食事量を担保していることをうかがわせます。一方で、十分な量の食事がとれている頻度が週に2日以下との回答が保護者で22.2%、高奨生で11.5%あり、十分な食事量が確保できていない世帯の割合も無視できません。

物価高で奨学金の申請者数は高止まり

「あしなが高校奨学金」の申請数は、物価高などの影響を受け、高止まりしています。

2023年度は2,630人だったのに対し、2024年度は3,487人、2025年度は3,217人、そして2026年度は3,448人と、3000人を超える申請が3年連続で続いています。

一方、街頭募金をはじめとした皆さまからのあたたかいご支援のおかげで、採用率は2024年の44.1%から2025年は58.4%、2026年は63.7%と、年々より高い採用率を更新しています。2026年は2,196人と、制度設置以来過去最多の採用人数となりました。

一人でも多くの遺児の子どもたちに奨学金を届けられるよう、引き続きご支援をお願い申し上げます。

高校奨学生 保護者の声

2026年調査 保護者自由記述より抜粋

何もかもが物価高で困窮しています。精神疾患と生活保護は社会から理解されにくいことも偏見もたくさんあるため、あしなが育英会があることはとても心強いです。娘が18歳になったのですが、お金がなくて、大学進学を躊躇しています。勉強が大好きな娘は、不登校になりましたが、自学自習し努力に努力を重ねました。高校進学をせず、高卒認定を受けます。大学に行くことを夢見て勉強の努力をし続けてきましたが、親がお金が、なくて夢を断念してしまうのが、申し訳なくて申し訳なくて。情けない親です。
来年の春に、娘が専門学校に進学予定ですが、入学金が140万円要ります。しかも支払いは今年の秋です。恥ずかしながら、我が家は貯金がありません。どうやって支払えばよいのか、本当に困っています。私のお給料では子どもたちを食べさせていけず、子どもたちは毎月バイト代を全額家計に入れてくれます。親として情けなく、とても辛いです。娘の夢は言語聴覚士になることです。そのために勉強も頑張っています。なんとか学校に行かせてやりたいです。あと2ヶ月ほどで140万円という大金は用意できません。本当に本当に困っています。
物価高の高騰。学習塾等を通わせることが金銭的な面で出来ない。自転車を買ってあげれない。通学用の靴を買ってあげれない。生活苦で子供に学校の日は2食で、休みや夏休み等の時は1食しか食べさせられず、身体検査でも痩せ過ぎになっている事。親の私の精神的な持病が悪く家事や掃除等が出来なく子供に負担をかけている事。暑い夏場や寒い冬場はうちにエアコンがない為暑さと寒さに我慢をさせている。

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