2024年3月6日
能登半島地震の現地調査を行いました
2月20日~22日、あしなが学生事務局の事務局員7名は一般社団法人あしなが育英会の能登半島地震の現地調査に同行しました。今回現地調査を行った目的は、被災した奨学生に向けた教育一時金と、能登半島地震が原因の震災遺児向けの教育支援金の制度を新設したことを、各自治体への周知するためです。あしなが学生募金事務局の学生は、自治体への奨学金制度の周知と震災で親を亡くした家庭やあしなが奨学金をすでにうけている奨学生の家庭への家庭訪問を行いました。
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1日目は、石川県能登町で被災に遭われた、高校2年生の娘さんをもつご家庭の家庭訪問に行きました。お母さんは、子どもにお金の心配はさせたくない、という事を幾度もおっしゃっていました。これは、私も母親に言われたことがあり、どの家庭でも親は子どもに不要な心配を欠けないようにしているという事実を目の当たりにしました。更に、このご家庭では、「お金しかない」という言葉を何度もお子さんにかけていたそうです。きっとその言葉は娘さんの心の安心材料としているのだと思います。「子どもが生きがい」そんな心温まる話も聞かせていただき、たとえ震災が起きたとしても、親の愛は変わらないのだと知りました。震災後、娘さんはトラックの揺れで起きてしまう事もあるそうです。やはり、震災によって引き起こされたトラウマというものは日常の事あるごとに思い出されてしまうものなのだと気付かされました。しかし、どんな状況に能登があっても、戻りたいと思っている、とおっしゃっていた事には正直驚かされました。いつ震災前のような状態になるのか、復興はできるのか、今ではなかなか考えにくい所ではあるかもしれません。そんな中でも、懐かしの故郷に戻りたいという気持ちが若い世代にあるという事が、一種の希望、復興への懸け橋になるのだと確信しています。
2日目は、輪島市周辺の行政訪問へ行きました。車で通るにも、家屋の崩壊が道まで広がっていたり、隆起している道路を通る、いや、登るという表現をした方が適切な道もありました。しかし、輪島から被災にあったご家庭のお家を見にいく道中、道の駅が営業しているのを見つけました。そこでは、うどんやコロッケなどのホットスナック、また、コーヒーなどが売られており、イートインスペースは人で賑わっていました。駐車場には県外ナンバーが並んでおり、長時間の移動や慣れない状況で疲弊している中、談笑しながら食べたり、お土産を買うことができるあの空間は、非常に貴重なものであるのだと感じました。経済を少しでも回すためにとコロッケを買い、母親と祖母にお土産を買いました。旅行気分が味わえると同時に、1ヶ月経って道の駅まで再開していることに驚きました。
3日目は、氷見市の副市長に会いに行きました。私たちが今1番奨学金制度を周知する上で効率的な部署はどこなのか一緒に考えてくださり、氷見市にある唯一の高校にも掛け合ってくださいました。奨学金の周知をする上で、いかに情報を必要としている場所にいち早く情報を届けられるか、これが一番重要だと考えています。情報を求めている人が一人でも多く救われることを願うばかりです。最後に、液状化が激しいとされる内灘も見に行着ました。一見普通の街に見えますが、住宅街に入ると玄関前の階段やブロック塀が壊れ、また飲食店の駐車場がボコボコ隆起している所も見つけました。よく見なければわからない、そんな震災被害の形があることを改めて知りました。
この3日間を通して思ったことは、もう思ってるだけが支援にはならないということです。これまでは、今何をしたらいいのか、という事を考えてきた人が多いでしょう。確かに、震災にあってすぐ行動に移そうにも、被災地に新たなトラブルが起きてしまったり混乱を引き起こしたり、本来行き届くはずの食料などが被災者に行き届かなくなる事もあります。しかし、現在は現地でボランティアスタッフが募集され始めたり、廃校を使ってボランティアスタッフに有料で宿泊場所を提供するなどの活動が始まっています。今回私たちは、現地に行くという行動、また感じたこと見たことを共有するという行動をしました。これは直接的な支援にはならないかもしれませんが、知見し、多くの人に周知することで、興味を持つ人が増えてボランティアスタッフが増えたり、復興支援のためのアイデアが思い浮かんで、そこから何かを立ち上げる人がいるかもしれない、そんな分岐点に立って呼びかけるという、今まで動かずにいた時にはできなかったことができています。繰り返しますが、すでに思考を巡らせるだけのフェーズにはいません。また、この文章を読んだことで”被災地の事を知ったつもり”にはならないでください。なんでもいいから行動に移してみましょう。ボランティアの募集要項だけでもいいから覗いてみましょう。あなたの1つの行動が、被災地の未来に繋がります。長く拙い文章をここまで読んでくださり、ありがとうございました。
最後に、私たち能登半島地震調査隊の調査結果が、能登半島を始めとした被災を受けられた地域の方々の支援に繋がることを強く願っています。